ギフテッドとは何か
高IQと同じ? 定義の違いを整理する。
知能検査の得点の位置。
数学、言語など、何が得意か。
どんな学びが合っているか。
130という線は、便利だ
「ギフテッドとは何か」と問われて、「IQ130以上の人」と答えれば話が早い。IQの尺度を平均100、標準偏差15とすると、130は平均から2標準偏差離れた位置。確かに目立つ数字で、歴史的に高いIQを才能児の識別に用いてきた研究や制度もある。
でも、ここでひとつ疑問が浮かぶ。数学を何学年も先まで学べる子どもがいるとして、その子の総合IQが130に届かなかったら、教室で必要な学習機会は変わるのだろうか。
IQの高低と、教育上の支援が必要かどうかは、ぴったり同じ問いではない。
米国の団体は何と言っているのか
全米ギフテッド児協会(NAGC)は、同じ年齢・経験・環境の人たちに比べ、一つ以上の領域で高い能力や可能性を示す子どもについて説明している。そこには続きがある。その力を育てるには、通常とは異なる教育経験が必要な場合がある、という部分だ。
定義の中心が「すごい子を選ぶ」だけではない点が興味深い。能力の高さだけを記録するのではなく、どんな学び方なら力を伸ばせるかまで視野に入れている。
NAGCはまた、学習・情報処理上の困難を併せ持つ子どもや、社会・情緒面の支援を必要とする子どもにも言及している。才能があれば学校生活が何もかも順調、とは決めつけていない。
日本では、あえて別の言葉を使う
文部科学省の資料を開くと、「ギフテッド」の代わりに「特定分野に特異な才能のある児童生徒」という表現がよく出てくる。この言葉が長いのは、簡潔さよりも、学校でどんな子どもを想定しているかを丁寧に示そうとしているからだと読める。
日本の政策文書で重視されているのは、特異な才能がある一方で、授業の進み方や学校生活に難しさを感じる児童生徒への対応だ。これも「高IQ者の認定制度」を作るという話とは異なる。
「ギフテッドかどうか」を知りたいとき
まず調べたいのは、その言葉がどの文脈で使われているかだ。研究論文で使う定義、学校のプログラム参加条件、民間団体の基準は、一致するとは限らない。
たとえば「うちの子はギフテッド?」という保護者の問いには、「何が得意なのか」「今の授業で困っていないか」という問いも隠れている。名称の判定だけでは答えが出ないことが多い。
定義が曖昧だから、議論する意味がないのではない。むしろ、どの定義で話しているかを確かめれば、議論はずっと正確になる。
出典・参考資料
図解や整理の文章は当サイトによる編集です。研究結果そのものと、編集上の提案は区別して掲載しています。